[デザイン]マツダヒロチカ
「写真の鬼」とも呼ばれた土門拳 (どもん けん / 1909〜1990) は、戦前から報道写真家として活躍し『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』など、日本の伝統文化から社会性の高いテーマにおいて「リアリズム写真」を追求し続けた戦後日本を代表する写真家です。とりわけ、『古寺巡礼』シリーズは土門拳がライフワークとして長年取り組んだ作品であり、著名なシリーズのひとつです。
土門は、『古寺巡礼』シリーズについて「『ひとりの日本人の、みずからの出自する民族と文化への再確認の書として、愛惜の書として』世に残すことができた。日本人たる写真家として、その使命を全うできたぼくは、仕合せものである」と記し、独自の美意識で選んだ日本美術史とも言うべき、珠玉の写真作品を完成させました。
昭和14(1939)年暮れに初めて室生寺を訪れ、一木造の「弘仁仏」に心惹かれて以来、昭和43(1968)年に脳出血で倒れたのちもその撮影意欲は衰えることなく、車椅子で全国各地の古寺巡りを敢行。建築や仏像の細部をクローズアップした写真からは、造形のみに捉われず「仏像の精神をまっとうに追求する」土門の、被写体に対峙し、本質をえぐりだそうとする執念ともいうべき気迫がうかがえます。
本展は、没後25年の節目にあたり開催する展覧会であり、『古寺巡礼』シリーズの写真作品約170点に加え、土門が『古寺巡礼』撮影時に実際に使用したカメラなど当時の貴重な資料も展示します。被写体に肉薄しつづけた土門の世界に迫るまたとない機会です。
[会期]2015年8月8日 (土) 〜 9月23日 (水・祝)
[開場時間]10時〜17時 (入場は16時30分まで)
[休館日]月曜日 (※ただし9月21日[月・祝]は開館)
[会場]九州芸文館
[入場料]一般 700円 (500円) 、高大生 500円 (300円) 、小中生 300円 (100円)
※ ( )内は20名以上の団体料金 ※ 65歳以上の方は特別料金 (500円)
※ 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方およびその介助者は無料
[主催]九州芸文館美術展実行委員会
[共催]西日本新聞社、TVQ九州放送
[特別協力]公益財団法人 土門拳記念館
[企画協力]株式会社クレヴィス
写真界の巨匠 没後25年 土門拳の古寺巡礼 関連イベント
◆オープニング記念講演会 土門の撮影助手・藤森武氏が語る「土門拳と古寺巡礼」
◆ ミュージアム・コンサート「クラシック巡礼ー重厚なる低弦の響き」
◆ 専門家に学ぶ!レクチャー1 「仏像のみかた」
◆専門家に学ぶ!レクチャー2 「筑後地域の古寺と仏像」
◆トークイベント みうらじゅんトークショー「マイ土門拳 & マイ仏像」
◆ちくご巡礼 撮影ツアー
◆学芸員によるギャラリートーク
公式チラシ ダウンロード (pdf.3MB)
[デザイン]マツダヒロチカ (アートディレクター / クリエーティブディレクター)
病を乗り越え成し遂げた不屈の写真家ー土門拳 (どもん けん / 1909〜1990)
戦後日本を代表する写真家。1909年山形県酒田市に生まれる。東京の宮内幸太郎写真場で修行後、日本工房に入社。1939年美術史家・水澤澄夫の案内で初めて室生寺を訪れ、平安初期の仏像「弘仁仏」に強く惹かれる。戦後はフリーランスとなり、1950年代にはリアリズム写真論を展開、写真界に旋風を巻き起こした。1960年脳出血で倒れた後遺症で35mmカメラが自在に操作できなくなると、大型カメラで撮影を敢行。1968年再び倒れるが再起し、車椅子で撮影を続行。13年間で『古寺巡礼』全五集刊行へと結実した。1979年脳血栓で倒れ、11年の昏睡状態となり1990年80歳で永眠。1981年土門拳賞が創設され、1983年には酒田市に土門拳記念館が開館。芸術選奨文部大臣賞、菊池寛賞、紫綬褒章など受賞、受章多数。
主な出品作品
本展 Facebook
https://www.facebook.com/pages/土門拳の古寺巡礼/589769777830619土門拳記念館 ホームページ
http://www.domonken-kinenkan.jp/
『戦後70年特別企画 土門拳が視た昭和』 2015年7月15日 (水) 〜 9月28日 (月)
http://www.domonken-kinenkan.jp/2015071501/