はじめに
福岡県南部の筑後エリアは、平野、川、山、海を持ち、農産物海産物が豊富であり、九州の交通の要所としても、アジアを中心とする海外交流の拠点としても、古代から常に需要な交流拠点として栄えてきた地域です。岩戸山古墳を始めとする多くの古墳群や、近代以降の様々な文芸、芸能、美術などの才能と作品に恵まれています。
この地域で、アーティストが国や文化の違いを越え、異国の地域社会に身を置き、異なる文化や歴史の中で、暮らしや人々との交流を通して発想し滞在制作を行います。市民はアーティストの制作現場に立ち会い、地域の文化振興に参加しています。九州芸文館は芸術と人との交流を紡いでいます。
九州芸文館の主催交流事業「アーティスト・イン・レジデンス」は、釜山文化財団と九州芸文館との協働によって実現じ、多くのアーティストが交流し、互いの特性を発揮してきました。
この活動は九州芸文館の「芸術文化拠点性」の発揮や地域の芸術文化振興への寄与、市町村への定住促進までも視野に入れた活動であり、現代社会が「芸術と社会」の関係性を示す機会でもあります。また、作家や来館者が異文化に触れ互いの国を再認識し、親交を深める普遍的な国際交流でもあります。
九州芸文館は「芸術文化交流施設」であり、多様な芸術文化交流の体験を通して情報発信する事で「豊かな文化」の創出を目指す「拠点」です。これは常に変化し続ける社会を前提に成り立ち、定説や型にとらわれない「現場主義」です。アーティストと地域社会が突如出会い、相互に感化し合い、育まれたインスピレーションをもとに制作される作品から社会は何らかの影響を体験し、未来に活かされるアイディアを紡ぐはずです。