ごあいさつ
九州芸文館のある筑後地域は、古来よりアジアとの交流が盛んで、豊かな文化を涵養してきました。
それは美術工芸の世界だけではなく、文学・音楽、さらには、建築・科学など広範なジャンルにわたって定着し、発展してきました。福岡県は、これらを継承・育成していくために、大学や図書館、美術館などの様々な文化施設を整備しており、九州芸文館は、筑後地域唯一の文化施設として、平成25年に開館しました。
筑後地域の歴史や要望に応えて、地域の文化発掘や育成を中心に、アジアとの交流も事業の柱として運営を行っており、その一つが「アーティスト・イン・レジデンス」です。海外の芸術家を招聘し、滞在・公開制作をしていただき、アジアの現代芸術の紹介と地域の方々との交流を行い、同時に、国内の芸術家を海外に派遣し、相互の文化交流を促進しております。
本年は、コロナ禍のため、海外の芸術家招聘はできませんでしたが、昨年、一昨年と、九州芸文館が海外に派遣した二人の作家を招聘し、九州芸文館で二カ月滞在・制作をしていただきました。コロナ禍で移動が制限される中だからこそ、海外との文化交流を経験した二人の作家が、改めて地元福岡を見つめ直し、コロナ禍で交流が制限される中だからこそ、より顕著に現れた地域との結びつきの中で、筑後地域の素材や風土から感じた、素晴らしい作品を完成されました。ご支援くださいました皆様に感謝申し上げます。
この事業は、九州芸文館の設立目的に合致した非常に重要な事業として今後も継続して進めてまいります。
引続きご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
九州芸文館 館長 津留 誠一
九州芸文館主催のアーティスト・イン・レジデンスは今年で3年目を迎えました。
今年は今までとは異なり、海外との交流ができないコロナ禍での開催となってしました。
しかし、昨年、一昨年と釜山に派遣した黒田恵枝さんと山口貴一さんに改めてご参加いただき、地域の方々と交流しながら、アーティスト・イン・レジデンスの事業目的、芸術文化を介した人と人との交流は高いレベルで達成でき、大きな成果を収めてくれました。
今回のアーティスト・イン・レジデンスでは、新しい2つの取り組みにチャレンジしました。一つは「サテライト展の開催」、もう一つは「外部団体との協働」です。
サテライト展を開催することで遠く離れた地域の人たちにアーティスト・イン・レジデンスの事業を伝えることができました。
また、外部団体との協働によって今まで内部の力だけでは難しかった事柄に挑戦することができ、コロナ禍の社会であってもアーティスト・イン・レジデンスは高いレベルで達成できるということを証明できたと思います。
九州芸文館のアーティスト・イン・レジデンスは、多くの人々と関わり、多くの団体と協働しながら今後も続けていきたいと考えております。
今後もコロナ社会は続きますが、新しく取り組んだ2つの取り組みを基に、もっと新しい、もっと良い内容のアーティスト・イン・レジデンスに挑戦していきたいと考えています。
九州芸文館 事業統括 津留 元