私は、人と環境の関係性を主なテーマとして、自然環境のもつ「恐ろしさ」 と「美しさ」という全く違った性質を一つの作品に込めたいと考え制作しています。特に日本建築の美しさには、環境との調和のヒントが隠されているのではと考え、日本建築の研究も進めています 。
古来より日本人は自然と共存して生きていく道を歩んでいます。日本建築には日本の厳しい四季にも耐え、家を 長く保たせる様々な工夫がなされ、その工夫は自然と調和し、共存する形で発展してきました。
日本建築のもつ形の美しさの中に隠されているヒントを紐解いて、その美しさを自分の作品に活かすことで、人と環境との関係性を表現した作品を生み出しています 。
1984 佐賀県生まれ
2008 東京造形大学造形学部卒業
2010 九州産業大学大学院博士前期課程修了
個展・企画展
2020 「朝倉の『被災木』と『山口貴一』展」/gallery cobaco、福岡
2019「ART& PERFORMANCE 彫刻家山口貴一展」/九州芸文館、福岡
2019「야마구치 타카카즈 입체조형展」/ Hongti Art Center、釡山、韓国
2018 「山口貴一木彫展」/アートギャラリー白川、福岡
ワークショップ
2020 「積み木で大きなお城をつくろう!!」監修/とびうめアリーナ、福岡
2019 「木工おえかきART」主催/ToMs富松孝侑彫刻展示館、福岡
2012-2019 国の特別史跡「水城跡」の間伐材を使用したイベント運営委員(水城プロジェクト)/福岡
アーティスト・イン・レジデンス
2019 九州芸文館、釡山文化財団国際交換レジデンスプログラム/Hongti Art Center、釡山、韓国
受賞
2019 第40回 筑後市美術展 大賞
2019 ART FAIR ASIA FUKUOKA 2019 入選
2019 船小屋トリエンナーレ2018 アーティストインレジデンス賞
2018 第4回 天神ビエンナーレ「第3回 新世代アートフロンティア展」大賞
今回のアーティスト・イン・レジデンスでは、日本建築に使われている瓦を素材として使い、日本瓦の持つ美しさを作品に込め、筑後地区の人と環境の関係性をヒントに制作しました。
瓦は地元にある城島瓦の工房に協力してもらい、特別に提供していただいたものを使用しています。筑後地区は伝統工芸が盛んで、様々な素材の選択肢がありました。
その中でも瓦は、その土地の風土に適応した土で制作、焼成されており、人と環境の関係性を表現する上で最適だと感じ、今回のレジデンスの主な素材にすることにしました。
また、サテライト展と成果展で展示した作品の木材は、2017年に起きた九州北部豪雨、その時の災害の元凶となった木材(災害木)を譲り受け使用しています。
本来、そのような木材は人によっては悲しい記憶を想起させ、目を背けたくなるものかもしれませんが、我々芸術家の手によって悲しい面だけではない、違った視点を与えることができるのではないかと考えています。
今回のレジデンスを終えて、前回の韓国と同様、レジデンスという特殊な環境の中、アーティストとしての自分がどこまで通用するのか、全力で挑みました。
この2ヶ月間で得た経験や結果は、私の励みになり、これからの私の活動に新しい可能性を与えてくれるものとなりました。
また、 今回の作品制作には、沢山の方々からのご助力をいただき 完成へと辿り着く事ができました。この感動を少しでも共 有できたことに喜びを感じます。本当にありがとうござい ました。