コレクティヴと考える―パンデミック以降の地域文化活動の可能性
オンライン・トークのアーカイヴ映像や、コレクティヴちっごの活動記録などを、順次公開していきます。
2019年末から爆発的な広がりを見せた新型コロナウィルス(COVID-19)によって、世界は瞬く間に変化してしまいました。移動や外出が制限され、人が他人と会うという日常的な行為は、今や安心してできることではありません。
このパンデミックは、近年、交流や関係性を創出させる取り組みが多く見られる現代美術の領域においても、作家の活動に大きな影響、そして制約を与えています。また、多くの国際展覧会も中止になり、博物館や美術館もその活動の制限を余儀なくされています。この状況下で、これまで、オリジナルであることや、直接的な体験がその価値を担保してきた美術には、何ができるのでしょうか。
2019年、インドネシアのアート・コレクティヴであるルアンルパ(ruangrupa)がドクメンタ15の芸術監督となったことに象徴されるように、近年、美術界ではアート・コレクティヴの活動が大きな注目を集めています。人々が集まり、アイディアを共有し、時には美術の領域をはみ出して協働することによって、交流や関係性を生み出し、可視化してきたコレクティヴたち。「集まる」ことを活動の核としてきた彼らは、コロナ禍におけるこれからの人と人との交流をどのように捉えているのか。地域のコミュニティはどのように創造、維持されていくのか。国を越えた移動もままならないこの状況で、国際的な交流はどのように可能になるのか。
本企画では、こうした問題意識の下、今や非日常になってしまった、人が「集まる」ということを主要なテーマとし、専門家やインドネシアの8組のコレクティヴによる連続トーク、そしてオフラインで進行する井戸端会議企画「コレクティヴちっご」を通して、コロナ禍における人々の交流とアートの可能性を探ります。
要事前申し込み(参加方法はこちら)
日本語・インドネシア語通訳あり
講師:廣田緑(国際ファッション専門職大学准教授)
インドネシアで17年間アーティストとして活動を続け、現地のアートを取り巻く状況をその内側から見てきた廣田緑氏を迎え、コレクティヴという、まだ一般にはあまり馴染みのない概念についてレクチャーをして頂きます。
古都ジョグジャカルタで、研究や教育活動をメインに行うコレクティヴ。ジョグジャカルタは比較的小さな街ですが、その中に多くのコレクティヴやギャラリー、アトリエがひしめき合い、独自のアート・ワールドを形成しています。そこではどんな課題があり、どんな活動が行われているのでしょうか。
東ジャワ州のスラバヤで活動するコレクティヴ。芸術と社会という観点から、領域横断的な知識の共有を促すようなプロジェクトを積極的に展開しています。都市や社会の問題に関して、レジデンスや遠足、展覧会、討論会、出版など、様々な方法でアプローチを試みています。今回は2人のメンバーに、これまで、そしてこのパンデミック下における彼らの活動や、スラバヤのアート・シーンの状況について語ってもらいます。
スラウェシ島、南スラウェシ州の州都マカッサルで活動するコレクティヴ。彼らは図書館としての機能をベースとした活動を行っています。公的な図書館のあり方に不満を持った彼らは、自分たちで理想の図書館を作ってしまおうと考え、カタクルジャの設立に至りました。本を媒介につながり、発展する彼らのコミュニティは、今どのような課題に直面しているのでしょうか。
マカッサルで活動する、複合コレクティヴ。4つのコレクティヴが集まり、一つの大きなコレクティヴを形成しています。自分たちの存在や活動を「オーガニックなもの」と呼ぶ彼らは、何事も人と集まっておしゃべりをしていくなかで決まっていくと言います。その緩やかな有機的つながりは、コロナ禍においてどのように維持することができるのでしょうか。
ジャカルタで活動するルアンルパ(ruangrupa)、セルム(Serrum)、グラフィス・フル・ハラ(Grafis Huru Hara)が共同で運営している、教育機関を備えた複合コレクティヴ。パンデミック発生当初から、フェイスシールドの制作・寄付など、アートの枠を超えて、彼らの持つ技術をいち早く社会と共有してきました。今回は合計3人のメンバーに、複数の視点からコロナ禍におけるコレクティヴの活動について語ってもらいます。
スマトラ島、西スマトラ州のソロックで活動するコレクティヴ。彼らは、芸術とメディアという観点から、ソロックの歴史や記憶、物語を通して、住民とともに地域について考えるプロジェクトを手掛けています。未曾有の世界的混乱は、ソロックにどのような変化をもたらし、彼らはそれに対しどのように立ち向かっているのか、その現状を共有してもらいます。
東ヌサ・トゥンガラ州、ティモール島のモロで活動するコレクティヴ。インドネシアのアート・シーンは、ジャカルタやバンドン、ジョグジャカルタといった、ジャワ島での活動ばかりが注目されてきました。しかし近年、東ヌサ・トゥンガラ州からは、多くのアーティストが輩出されているといいます。「中心」と「周縁」という関係も含め、都市とは異なる環境で、今何が求められているのかについて、語ってもらいます。
長きに渡るインドネシアの旅も、ひとまずここで最終回。最後はジャワ島、西ジャワ州のジャティワンギ。そこは、村全体がアートで成立している稀有な場所。彼らは地域の主産業である瓦を活かし、瓦の音楽祭や、職人さんたちのボディービル大会の開催など、ユニークな試みで地域コミュニティの連帯を生み出しています。発足から16年、彼らの活動によってジャティワンギはどのように変化してきたのでしょうか。
司会進行:羽鳥悠樹(福岡県文化振興課学芸員)
申し込み方法:「申し込みフォーム」よりご応募ください。
※定員に達したため、募集は終了いたしました。
※当日ご覧頂けなかった方、もう一度ご覧になりたい方は、アーカイヴされた動画の視聴も可能です。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況によって、変更・中止する場合があります。最新情報は本ホームページもしくはFacebookをご確認ください。
オフラインで進行する井戸端会議企画「コレクティヴちっご」の詳細は、以下のバナーをクリック
「ちくごJR芸術の郷」事業団
〒833-0015 筑後市大字津島1131(九州芸文館内)
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